指定数量と倍数計算
消防法上の危険物は、ある一定の量において、法の規制を受けることになります。指定数量とは、取扱いまたは貯蔵において、消防法上の規制を受ける危険物の基準量のことです。
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危険物の指定数量と規制の範囲
指定数量とは、危険物についてその危険性を勘案して政令で定める数量のことです。指定数量以上の危険物を取り扱ったり、貯蔵する場合は、消防法の規定が適用されます。
指定数量
第4類危険物第1石油類のガソリンにおいては、指定数量が200ℓと定められています。そのため、200ℓ以上を取り扱ったり、貯蔵する場合には、消防法による規制を受けるということです。
第4類危険物 指定数量 | |||
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品名 | 性質 | 物品 | 指定数量 |
第1石油類 | 非水溶性 | ガソリン | 200ℓ |
第2石油類 | 非水溶性 | 灯油、軽油 | 1000ℓ |
第3石油類 | 非水溶性 | 重油 | 2000ℓ |
水溶性 | グリセリン | 4000ℓ | |
第4石油類 | — | ギヤー油、シリンダー油 | 6000ℓ |
動植物油類 | — | アマニ油 | 10000ℓ |
危険物の規制の範囲
ガソリンを200ℓ以下で取り扱ったり、貯蔵する場合はどうでしょうか。この場合は、消防法の規制は受けませんが、代わりに、市町村が定める条例で規制されることになります。
指定数量に関係なく規制が適用される場合
指定数量に関係なく規制が適用される場合があります。それは、危険物の運搬です。
危険物の運搬に関しては、「運搬及び移送の基準」の項目で勉強します。
指定数量の倍数計算
実際に危険物を貯蔵し、取扱う場合に、危険物の数量が指定数量の何倍に相当するかを表す数を、指定数量の倍数と言います。
指定数量の倍数を計算して、「1」以上になった場合には、指定数量以上の危険物の取扱いまたは貯蔵をしていることになり、消防法の規制を受けることになります。また、「1」以下の場合には市町村の条例が適用されます。
危険物が1種類だけの場合
例えば、ガソリンを400ℓ貯蔵している場合、ガソリンの指定数量は200ℓですので、
400 ÷ 200 = 2
指定数量の2倍を貯蔵していることになります。
それでは、ガソリン50ℓの場合はどうでしょう。
50 ÷ 200 = 0.25
指定数量の0.25倍を貯蔵していることになります。この場合「1」より小さいので、 消防法ではなく市町村の条例の規制を受けることになります。
危険物が2種類以上の場合
2種類以上の危険物の場合は、それぞれの倍数を計算して足します。
足した数字が「1」より大きければ消防法の規制を受け、小さければ市町村の条例の 規制を受けることになります。
資格試験では、こんな問題が出る!
法令上、次の危険物を同一場所で貯蔵する場合、指定数量の何倍になるか。
ガソリン 100ℓ
軽油 500ℓ
灯油 500ℓ
ギヤー油 3,000ℓ
上記の問題では、危険物が2つ以上ですので、それぞれの指定数量の倍数を計算して、足してあげればよいことになります。
それでは、計算してみます。
ガソリンの指定数量は200ℓです。そのため…。
100÷200=0.5
軽油の指定数量は1000ℓですから…。
500÷1000=0.5
灯油も軽油と同じ指定数量は1000ℓです。
500÷1000=0.5
ギヤー油の指定数量は6000ℓです。
3000÷6000=0.5
それぞれを足して、0.5+0.5+0.5+0.5=2倍
実際には、4択問題ですので、正解肢を選べばOKです!