燃焼の定義・燃焼の種類・燃焼の難易
燃焼の定義、燃焼に必要な条件について勉強します。可燃物の形によって、燃焼の種類が異なります。第4類はすべて可燃性液体なので、蒸発燃焼になることをまず理解しましょう。
このページの目次
燃焼の定義
物質が酸素と結びつく化学反応を酸化と言います。この酸化のうち光と熱を発生するものを燃焼と言います。
鉄が錆びる現象も酸化と言いますが、この現象には光と熱を発生させないので、燃焼ではありません。
燃焼には、可燃物、酸素供給源、火源の3つが同時に存在しなければなりません。(燃焼の3要素)一つでも欠けると燃焼は起こりません。そのため、消火には、この3つの内一つを取り除けばよいことになります。
可燃物(可燃性物質)
可燃性物質とは、燃える物のことです。例えば、紙や木材、石炭、木炭、ガソリン、灯油などのことです。
これらの可燃物には、それぞれ燃焼の種類が違います。燃焼の種類によって消火の種類もちがってきます。この違いを理解しなければなりません。燃焼の種類については、次の項目で、消火については別のページで勉強します。
燃焼の3要素
・可燃物 ・酸素供給源 ・火源
「二酸化炭素は燃えない」このことはよく知られています。二酸化炭素は、炭素が完全燃焼して生じた物なので、これ以上燃えません(不燃物)そのため、消火剤にも使われることがあります。
※二酸化炭素を噴射することで、燃焼の3要素の一つである酸素供給源を取り除くことができるため。
一方で、一酸化炭素は炭素の不完全燃焼で生じた物なので、可燃物です。
二酸化炭素と一酸化炭素の違いについてもしっかり理解しておきましょう。
酸素供給源(支燃物)
酸素供給源は以下のようなものがあります。
空気中の酸素
空気には、窒素(78%)酸素(21%)などが含まれています。その中の酸素が支燃物となるのです。
また酸素濃度が高くなるほど燃焼は激しくなり、濃度が低くなると燃焼しなくなります。酸素濃度が約15%以下になると燃焼が継続しません。
可燃物に含まれる酸素
第5類の危険物、有機過酸化物、硝酸エステル類、ニトロ化合物、アゾ化合物などの自己反応性物質は、空気が無くても熱による分解等で含まれる酸素を酸素供給源として燃焼します。
丙種では、試験問題で出題されません。
酸化剤等に含まれる酸素
酸素を供給する酸化剤に含まれている酸素は酸素供給源となります。
酸素は無色無臭で水にあまり溶けない物質です。他の物質を燃焼させる支燃物となりますが、酸素自体は燃えません。(不燃物)
火源(点火源・熱源)
火源は、マッチやライターといった火気のほかにも、静電気や摩擦、衝撃による火花も含まれます。特に、試験では、静電気についてよく出題されますので、しっかり理解しておきましょう。また、別のページでは、静電気について勉強します。
燃焼の4つめの要素
燃焼は、酸化反応が連鎖的に続くことで継続することがあります。このため、可燃物、酸素供給源、火源に加え、燃焼の継続(連鎖反応)を加えた、燃焼の4要素という場合があります。
燃焼の種類
個体の燃焼、液体の燃焼、気体の燃焼について理解していきましょう。
個体の燃焼
紙、木材、木炭、石炭など形がある物の燃焼について以下の三種類に分けて理解します。
分解燃焼
個体が過熱されることで、分解されその時に発生する可燃性蒸気が燃焼することです。特徴として炎が出ます。
分解燃焼をする物質には、紙、木材、石炭、プラスチックなどがあります。
表面燃焼
個体の表面が燃える燃焼のことで、分解や蒸発はしません。特徴として炎が出ず、表面が赤くなります。
表面燃焼をする物質には、木炭、コークスなどがあります。分解燃焼の石炭と表面燃焼の木炭に注意しましょう。
蒸発燃焼
加熱された個体がそのまま蒸発して、その蒸気が燃焼します。
蒸発燃焼をする物質には、硫黄やナフタリンなどがあります。
液体の燃焼
液体の燃焼は、蒸発燃焼でもあります。液体の蒸発燃焼は、液体そのものが燃えているのではなく、液面から蒸発した可燃性蒸気が空気と混合して火源により燃焼します。
液体の蒸発燃焼をする物質には、ガソリン、灯油、軽油、重油などがあります。
第4類危険物は液体なので、すべて蒸発燃焼です。
気体の燃焼
気体の燃焼では、可燃性ガスが酸素と一定の濃度で混合して燃焼します。
燃焼の難易について
資格試験では、どのような状態のときによく燃えて、危険性が高いのか、それとも低いのかなどが問われます。
しっかり危険性を理解しておきましょう。
- 可燃性蒸気が発生しやすい物ほど燃えやすい
- 発熱量が大きい物ほど燃えやすい
- 熱伝導率が小さい物ほど燃えやすい
- 周囲の温度が高いほど燃えやすい
- 物質が乾燥している物ほど燃えやすい
- 酸化されやすい物ほど燃えやすい
- 表面積が大きい物ほど燃えやすい
熱伝導率について、熱が物質に蓄積されるため、物質の温度が上昇しやすくなります。そのため、燃えやすくなります。また、周囲の温度が高いと、その分物の温度が上昇します。そのため燃えやすくなるのです。
可燃性固体を粉状にしたり、引火性液体を噴霧状にすると、その分表面積が大きくなります。そのため、酸素と接触しやすくなり燃えやすくなります。
引火性液体の場合は、酸素との接触面積が大きくなるとともに、蒸発もしやすくなり、燃えやすくなります。
知識の確認
可燃物の燃焼の定義や難易について、しっかり理解しておきましょう。
資格試験では、定義や難易の知識が良く問われます。
分解燃焼、自己燃焼、表面燃焼、蒸発燃焼に分類され、第4類危険物はすべて蒸発燃焼であること。また、木炭と石炭の燃焼の種類は違うということをしっかり理解してください。