燃焼範囲・引火点・発火点
燃焼範囲とは、可燃性蒸気が燃焼することができる濃度の範囲のことです。可燃性蒸気は濃度が濃くても薄くても燃焼しません。ちょうどいい範囲が、その物品によって違います。
また、引火点や発火点についても勉強します。
燃焼範囲
可燃性蒸気は空気との混合することで燃焼します。この混合の割合が一定範囲の時に、火源により燃焼します。
可燃性蒸気が燃焼することができる濃度の範囲のことを燃焼範囲または爆発範囲と言います。
可燃性蒸気は、その濃度が薄すぎると燃焼しません。また濃すぎても燃焼しないのです。このそれぞれの限界値を下限値と上限値を言います。
可燃性蒸気の燃焼範囲は、その物品により異なります。すべての物品についての燃焼範囲を覚える必要はないですが、以下の物品については知っておくと良いでしょう。
可燃性蒸気の燃焼範囲 | |||
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可燃性蒸気 | 燃焼範囲 | ||
下限値 | 上限値 | 差 | |
ガソリン | 1.4 vol% | 7.6 vol% | 6.2 |
灯油 | 1.1 vol% | 6.0 vol% | 4.9 |
軽油 | 1.0 vol% | 6.0 vol% | 5 |
下限値が低い物ほど危険です。また、燃焼範囲の幅が広い物ほど危険です。
可燃性蒸気の濃度の求め方
可燃性蒸気の濃度は、空気との混合気体の中にその蒸気がどのくらいの濃度で含まれているかを表したものです。
引火点
引火点とは、点火した時に、混合気体が燃え出すのに十分な濃度の可燃性蒸気が液面上に発生するための最低の温度(液温)のことをいいます。液温ということに注意しましょう。資格問題では、液温ではなく気温とという風にひっかけてきます。
可燃性液体は、その物品によって、液体が蒸発する温度が決まっています。例えば、水が蒸発する温度が100℃という風に、ガソリンが蒸発する温度は-40℃と決まっているのです。
液体が蒸発する温度(液温)以上になると、蒸気が発生し始めます。蒸気が発生したところに点火源を近づけると引火するのです。逆に、可燃性蒸気の液温が引火点より低い場合は、燃焼に必要な蒸気が発生していないため、点火源を近づけても引火しません。
ガソリンは引火点が-40℃と低いので、常温(気温20℃)の時はすでに蒸発し可燃性蒸気が発生しているということです。そのため常温で点火源を使づけると引火するので、とても危険ということになります。
また、灯油の引火点は40℃以上です。常温の時に点火源を近づけても引火しません。ただし、噴霧したり布などに染みこませたりすると引火する危険性が高くなります。
発火点
発火点とは、空気中で可燃物を加熱した場合、点火源がなくても物質そのものが発火して燃焼し始める最低の温度を言います。
引火点の場合は、点火源がなくては引火しませんでしたが、発火点の場合は、物質そのものが燃え出すので点火源は必要ありません。
引火点と発火点のまとめ
引火点と発火点の比較 | |
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引火点 | 発火点 |
十分な濃度の可燃性蒸気が液面上に発生するための最低の温度(液温)※可燃性蒸気の濃度が燃焼範囲の下限値を示すときの液温 | 空気中で加熱された物質が自ら発火するときの最低の温度 |
点火源が必要 | 点火源は不要 |
主な第4類危険物の引火点と発火点 | ||
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物質 | 引火点 | 発火点 |
ガソリン | -40℃以下 | 約300℃ |
灯油 | 40℃以上 | 220℃ |
軽油 | 45℃以上 | 220℃ |
重油 | 60~150℃ | 250~380℃ |
引火点、発火点共に、低いものど危険性が高いことを理解しておきましょう。