貯蔵及び取扱いの基準
危険物の貯蔵及び取扱いの基準について、政令と規則で定められています。危険物施設の基準で個別に定められているほかに共通した基準を定めています。
危険物の貯蔵及び取扱いの共通基準
共通基準とは、製造所等においてする危険物の貯蔵及び取扱いのすべてに共通する技術上の基準のことです。
次の共通基準は、特に重要で、資格試験でも出題されるものですので、しっかりと理解しておきましょう。
貯蔵、取扱いに関する共通基準
- 届出または許可された品名以外の危険物、数量または指定数量の倍数を超える危険物を貯蔵し、又は取り扱わないこと。
- みだりに火気を使用しないこと。
-
係員以外の者をみだりに出入させないこと。
- 常に整理及び清掃を行うとともに、みだりに空箱その他の不必要な物件を置かないこと。
- 貯留設備又は油分離装置にたまった危険物は、あふれないように随時くみ上げること。
- 危険物のくず、かす等は、一日に一回以上、危険物の性質に応じて安全な場所で廃棄その他適当な処置をすること。
- 危険物を貯蔵し、又は取り扱う建築物その他の工作物又は設備は、危険物の性質に応じ、遮光又は換気を行うこと。
- 危険物の性質に応じた適正な温度、湿度又は圧力を保つように貯蔵し、又は取り扱うこと。
- 危険物が漏れ、あふれ、又は飛散しないように必要な措置を講ずること。
- 危険物が残存し、又は残存しているおそれがある設備、機械器具、容器等を修理する場合は、安全な場所において、危険物を完全に除去した後に行うこと。
- 容器は、危険物の性質に適応し、かつ、破損、腐食、さけめ等がないものであること。
- 容器は、みだりに転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずる等粗暴な行為をしないこと。
類ごとに関する共通基準
危険物取扱丙種の試験では、第四類危険物に関しての基準のみ理解しておけばよいです。
第四類の危険物は、炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに、みだりに蒸気を発生させないこと。
危険物の規制に関する政令
第二十五条 法第十条第三項 の製造所等においてする危険物の貯蔵及び取扱いの危険物の類ごとに共通する技術上の基準は、次のとおりとする。
一 第一類の危険物は、可燃物との接触若しくは混合、分解を促す物品との接近又は過熱、衝撃若しくは摩擦を避けるとともに、アルカリ金属の過酸化物及びこれを含有するものにあつては、水との接触を避けること。
二 第二類の危険物は、酸化剤との接触若しくは混合、炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに、鉄粉、金属粉及びマグネシウム並びにこれらのいずれかを含有するものにあつては水又は酸との接触を避け、引火性固体にあつてはみだりに蒸気を発生させないこと。
三 自然発火性物品(第三類の危険物のうち第一条の五第二項の自然発火性試験において同条第三項に定める性状を示すもの並びにアルキルアルミニウム、アルキルリチウム及び黄りんをいう。)にあつては炎、火花若しくは高温体との接近、過熱又は空気との接触を避け、禁水性物品にあつては水との接触を避けること。
四 第四類の危険物は、炎、火花若しくは高温体との接近又は過熱を避けるとともに、みだりに蒸気を発生させないこと。
五 第五類の危険物は、炎、火花若しくは高温体との接近、過熱、衝撃又は摩擦を避けること。
六 第六類の危険物は、可燃物との接触若しくは混合、分解を促す物品との接近又は過熱を避けること。
2 前項の基準は、危険物を貯蔵し、又は取り扱うにあたつて、同項の基準によらないことが通常である場合においては、適用しない。この場合において、当該貯蔵又は取扱については、災害の発生を防止するため、十分な措置を講じなければならない。
貯蔵に関する共通基準
- 貯蔵所においては、危険物以外の物品を貯蔵しないこと。
ただし、屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所は一定の危険物と危険物以外の物品とを貯蔵する場合、それぞれを取りまとめて貯蔵し、かつ、相互に1メートル以上の間隔を置く場合は貯蔵することが認められています。 - 類を異にする危険物は、同一の貯蔵所において貯蔵しないこと。
ただし、屋内貯蔵所又は屋外貯蔵所は一定の危険物を貯蔵する場合、危険物の類ごとに取りまとめて貯蔵し、かつ、相互に1メートル以上の間隔を置く場合は貯蔵することが認められています。 - 屋内貯蔵所と屋外貯蔵所では、危険物を貯蔵する場合、3メートル(第四類の危険物のうち第三石油類、第四石油類及び動植物油類を収納する容器のみを積み重ねる場合は4メートル)の高さを超えて容器を積み重ねないこと。
- 屋外貯蔵所において危険物を収納した容器を架台で貯蔵する場合には、6メートルの高さを超えて容器を貯蔵しないこと。
取扱いに関する共通基準
- 危険物を詰め替える場合は、防火上安全な場所で行うこと。
- 危険物の廃棄する場合で、焼却する場合は、安全な場所で、かつ、燃焼又は爆発によつて他に危害又は損害を及ぼすおそれのない方法で行うとともに、見張人をつけること。
- 危険物の廃棄する場合で、埋没する場合は、危険物の性質に応じ、安全な場所で行うこと。
- 危険物は、海中又は水中に流出させ、又は投下しないこと。ただし、他に危害又は損害を及ぼすおそれのないとき、又は災害の発生を防止するための適当な措置を講じたときは、この限りでない。
- 自動車等に給油するときは、固定給油設備を使用して直接給油すること。
- 自動車等に給油するときは、自動車等の原動機(エンジン)を停止させること。
- 自動車等の一部又は全部が給油空地からはみ出たままで給油しないこと。
- 自動車等の洗浄を行う場合は、引火点を有する液体の洗剤を使用しないこと。
- 移動貯蔵タンクから液体の危険物を容器に詰め替えないこと。ただし、一定の方法で容器に引火点が40℃以上の第四類の危険物を詰め替えるときは、この限りでない。